いろいろな人、いろいろなタイプの良心を探りながら、自分の良心の成長を模索する。

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韓国の友だち 2

 ある日私の向かいの部屋に新しい住人が引っ越してきた。小柄な私とちょうど同じ年代の女性だった。彼女は芸術家志望の人でその時は英語を教えて生計を立てていたが、できれば絵をかいたり、写真やPCで作品を作ったりして、製作活動を通して生活したいという人だった。
 ある日の夕方いきなり停電になった。私はシャワーをしていたのだが、急に真っ暗になりシャワーの音だけになった。すると外で「停電だ」「あ、やっぱり」「ちょっと家主に言わないと」などと声が聞こえてきた。ただの停電だとわかり私も少し安心しシャワー室から出た。
 部屋に戻ったが、この狭い部屋で電気がつかないと何もできないことがわかり、これからどうしようかと途方に暮れていると、新しく来た住人が私に夕飯でも一緒に食べに行かないかという。私は夕飯は食べたけど、暗闇でじっとしていても仕方ないので、一緒に新村(シンチョン)の街にくり出すことにした。
 夏の夜で気持ちのいい風が吹いていた。近くの焼肉屋さんへ行った。店の前の昼間は車を駐車させているスペースに夜になるとテーブルを出して、外で焼肉ができるようにしていた。
 私たちはそこに腰を下ろしサンギョプサル(豚肉)とビールを注文し、私はまだつたないハングルを駆使して話し始めた。何を話したか覚えていないが、簡単な自己紹介をしたのだろう。
 肉をほとんど食べ終わったあたりで、店の中から急に大きな声が聞こえてきた。店のドアはすべて取りはずしてあるので、中の声はそのまま聞こえる。よく見ると店の真ん中を陣取っている20人近いグループのリーダーと思われる男性が立ち上がって何か言っている。
「ぼくらは成均館大学のコーラス部のメンバーです。夕方、歌を歌ってきた帰りにみんなで打ち上げをしています。これからぼくらの歌をお聞かせします!」
 たぶんこんなことを言ったのだと思う。はっきり聞き取れたのは「成均館大学のコーラス部」という言葉だけで後は友だちに説明をあおいだ。そして歌いだしたのが「麦畑(ポリパッ)」だ。日本で言えば赤とんぼのような歌だろうか、のんびりとした昔を懐かしむ童謡で、日本人の私でも郷愁を誘う歌だ。それを何とも美しいハーモニーで歌ったのだ。
 もちろん周りからは拍手喝采。確かアンコールがかけられて2,3曲歌ったように思うが、他の歌は知らない歌であったこともありほとんど覚えていない。逆に言えば「麦畑」が本当に素晴らしかったのだ。私は彼らの歌声に感動し、その勢い余って興奮気味に友だちに、「人生は一生懸命に生きていかないといけないんだよ!」とめちゃくちゃなハングルで訴えていた。
(続く)
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Author:heban
東京都出身
43歳

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