いろいろな人、いろいろなタイプの良心を探りながら、自分の良心の成長を模索する。

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神谷美恵子 2 癩者に

 神谷美恵子の書き残した有名な詩がある。
 1943年8月、岡山の離島に造られたハンセン病患者のための国立療養所愛生園に12日間だけ行った。戦時中であったため、十分な治療を受けることもできず、平均2日に一人ないしは二人死んでいったと言われる時期である。
 医師として愛生園を訪ね医療作業の見学を行なうのであるが、死体として運ばれてくる患者一人一人にその背後の人生の壮絶な闘いを感じたのであろうか、下記の詩を書いた。
 人の心を打たずにはいられないこの詩は、おそらく時代を超えて多くの人々の良心に問いかけるであろう。


  癩者に

光うしないたる眼(まなこ)うつろに
肢(あし)うしないたる体(からだ)になわれて
診察台の上にどさりとのせられた癩者よ
私はあなたの前に首(こうべ)をたれる。

あなたは黙っている
かすかに微笑(ほほえ)んでさえいる
ああ しかし その沈黙は 微笑は
長い戦いの後にかちとられたものだ。

運命とすれすれに生きているあなたよ
のがれようとて放さぬその鉄の手に
朝も昼も夜もつかまえられて
十年、二十年と生きて来たあなたよ

なぜ私たちでなくてあなたが?
あなたは代って下さったのだ
代って人としてあらゆるものを奪われ
地獄の責苦を悩みぬいて下さったのだ。

ゆるして下さい、癩のひとよ
浅く、かろく、生の海の面に浮かびただよい
そこはかとなく 神だの霊魂だのと
きこえよき言葉あやつる私たちを。

心に叫んで首をたれれば
あなたはただ黙っている
そしていたましくも歪められた面に
かすかな微笑みさえ浮かべている。
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